あなたのブロック塀は安全ですか? 今すぐチェック、早期に対処を

地震とブロック塀

ブロック塀 倒壊

大阪北部地震でプールのコンクリートブロック塀が倒れ、女児が犠牲となった事故は記憶に新しいですね。 Googleのストリートビューでは、倒壊前のブロック塀の姿がありました。(2018/7 現在)

過去の地震でも塀や石垣の倒壊で、たびたび被害が起こっています。 特に表面化したのは、1978年に起きた宮城県沖地震です。 犠牲者28人のうち、18人がブロック塀や門柱の倒壊で死亡しました。 国の調査の結果、以下が指摘されました。

・内部に鉄筋がなかった、または本数が不足

・補強用の「控壁」がなかった

これを受け、1981年に建築基準法が大幅改正されたのです。 現在にも続く「新耐震基準」となり、建築物が震度6強~7の地震でも倒壊しない強度を求めています。 ブロック塀についても、高さの上限を3mから2.2mに引き下げるなど、細かく基準が強化されました。

その効果は大きく、2016年の熊本地震では震度7の揺れが2回も起きましたが、建物の倒壊は減っています。 (旧耐震基準の家屋は倒壊率32.1%、新耐震基準では7.6%) しかし、被害の大きかった熊本県益城町では、塀の7割が壊れたそうです。 新しい基準を満たさない古い塀が多く残っていたのです。

崩れた瓦礫は道路をふさぎ、避難はもとより、救助や消防活動にも支障をきたします。 二次被害・三次被害を防ぐためにも、塀が安全かどうかチェックして必要な対処を行いましょう。

塀の構造

後ほど紹介する資料に出てきますので、塀の構造について触れておきます。

組積造(そせきぞう)
レンガや石・ブロックなどを積み重ね、モルタルで固めたのものです。
地震や台風に弱いので、あまり用いられていません。

補強コンクリートブロック造(づくり)
組積造の一種ですが、コンクリートブロックの空洞部に鉄筋を入れて補強したものです。
住宅の塀として一般的に用いられるのは、こちらです。

それでは、補強コンクリートブロック造の基準を見てみましょう。

ブロック塀の基準と現状

ブロック塀の基準

建築基準法施行令(61条・62条) で定められていますが、ポイントをまとめると

(1) 高さ:2.2m以下

(2) 厚さ:10cm以上(高さ2.0m超では15cm)

(3) 3.4mごとに控壁(ひかえかべ)を設置する

(4) しっかりした基礎があること

(5) 鉄筋でしっかり配筋すること
となります。

もちろん、これを満たさないと違法です。ですが、現実にはチェックの義務付けがないのです。 家を建てるときには「確認申請」を提出し、指定確認検査機関が安全性をチェックしますが、 ブロック塀を単独でつくる場合は、特別な検査は行われません。

法律を守るのは自主的にということになり、基準を満たさないブロック塀が存在してしまうことに。 また、改正前の古くて危険なブロック塀も、たくさん残っているのが現状です。

ブロック塀の点検

ブロック塀を点検するには、国土交通省のホームページが参考になります。

→ 建築物の既設の塀の安全点検について

大阪北部地震の被害を受けて、安全点検を行うよう注意喚起した文章です。 下図のようなチェックリストがあります。

ブロック塀の点検のチェックポイント

第1段階

一般の方が簡単にできる簡易診断で、まずは外観から五つの項目を確認します。 ひとつでも不具合があれば、第2段階に進みます。

第2段階

次は配筋など内部の確認です。このためには、ブロック塀を一部取り外すなどが必要です。 その後は修復しないといけませんし、問題があれば改修工事も必要になります。 一般の方では難しいので、専門家に頼みましょう

傾いていたりグラグラしていたら、完全な危険信号です。 倒壊して被害が起こってしまう前に、早急に対処しましょう。

もしもの時、責任は?

既存不適格(きそんふてきかく)

法律書とガベル

難しい言葉ですが、建築物にはこんな状態があります。 建てた当時は適法だったのに、法令改正後の基準を満たさない状態を言います。 でも、基準に沿うよう直す義務はありませんし、 そのまま使っても建築基準法には違反しません。

役所などからの注意や指導もなく、建築後に法改正の内容を知る機会も少ないでしょう。 ですから、耐震性が低い住宅やブロック塀が今も残り続けているわけです。

壁の所有者の法的責任

泣く作業員

もし事故が起こった場合はどうなるでしょう?

まず民法の土地工作物責任では、与えた損害の責任は管理者が負います。 管理者に過失がなければ、過失がなくても所収者が負うことになります。(無過失責任)
自分の家であれば、故意や過失がなくとも賠償責任を追うことになります。

次に刑事責任についてですが、過失致死傷罪に問われる可能性があります。 所有しているブロック塀が危険だと分かっているのに放置したのですから、過失が問われるでしょう。 基準が変わったことを知らなかったと言っても、 昨今の報道などにより危険性を認識できたと判断される可能性が大きいです。

つまり、建築基準法上は違法でなくとも、民法・刑法では責任を問われ得ます。 ご自身ご家族のため、ご近所の方、通行される方のためにも万全の対処をしましょう。

解体?補強?改修?生け垣?

目隠しフェンス

全国建築コンクリートブロック工業会によると、ブロック塀の寿命は約30年。 でもこれは、キチンとメンテナンスを行っているのが前提で、 何もしていなければ、10年から15年だそうです。
寿命がきたブロック塀は対処しないといけませんね。

  • 解体する(取り壊す)
  • 鉄骨などで補強する
  • 解体して作り直す
  • 解体してフェンスにする
  • 解体して生垣にする

それぞれ目的やメリット・デメリットがありますが、いずれにしても費用がかかります。 解体するだけでも費用はかかります。 実は以前からも、危険なブロック塀は撤去が推奨されており、 解体の補助金が出る市区町村もあります。 大阪北部地震をうけて、新たに補助金を新設しているところも出てきており、 これからもっと増えるでしょう。

高松市緑化事業助成制度

ちなみに地元の香川県高松市では、「 高松市緑化事業助成制度 」として「生垣設置事業」があります。(2018年4月1日現在)
自宅に新しく生垣を設置する場合に、 植栽工事費かブロック塀解体費用を助成してくれます。 活用してはいかがでしょうか。
ご参考までに。